【必殺シリーズに例えてみよう】「必殺仕置人」中村主水の生きざまに学ぶインターネット老人の誕生と今後

「おれたちゃワルよ、ワルで無頼よ」

 「時代劇は、必殺です!」の「必殺仕事人」での中村主水しか知らない方、パチンコなんぞを趣味にしている方々、そもそもテレビ見ない自慢大好きっ子さんたちにおかれましては中村主水の初登場作が「必殺仕置人」(1973年)であることはあまり知らないのではないでしょうか。
 実はこの初登場作では1話では、佐渡金山見張役から北町同心(※南町に移籍したのは後のシリーズです)になったものの腐敗した内部の現実に幻滅している主水が、佐渡で知り合った島送り者二人「念仏の鉄」「棺桶の錠」と江戸で再会しており、仲良くつるんでいるところから話が始まります。実は「必殺仕事人」しか知らない人は知らない、「裏稼業を始めるきっかけがみっちり描かれたキャラ」なんですよ、中村主水は!!

インターネットとの出会いは「昔の友達を探すだった人」挙手

 そう!生まれたころからネットがあった世代の人は、「友達のアカウントを探す感覚」に相通じるものがあるのかな?最初は、まず「同窓生を探す」「生存確認」をやったものです。
 冒頭で泥棒市が開かれている観音長屋。そういえばネット始めたては「うわあ、ネットとはなんというごみごみした情報の海だ…」そんな中であっさりと昔の友人、かつての趣味仲間などがつながっていったのを覚えています。

 作中でもこの観音長屋で旧知の仲間の仕置人3人、そして主水以外の長屋の友人で情報探索・陽動要員の2人があっさり揃います。
 さて、個人サイトを作ろう!=仕置人をやろう!!という意思を持つにはまだ動機が足りません。中村主水もはじめから仕置人なんぞ作ろうとは思ってはいませんでした。

「いきるないきるな、男30にもなっていい恰好しようなんざ、落ち目になった証拠よ」

 「必殺仕置人」1話「いのちを売ってさらし首」。ストーリーは意外にシンプルで、「闇の御前」と名乗り悪辣な行いを以て江戸を恐怖に貶めた罪によって斬首された男が、実は身代わりの何の罪もない男であった。

 その首を見た、身内の娘が「おっとう!!」と声を上げたところから娘は狙われ、偶然通りがかった棺桶の錠のところに匿われる。
 主水は牢名主・天神の小六の尽力で娘の言うとおり処刑された男が娘の父であること、そして闇の御前の正体が商人・近江屋であることを突き止める。そしてそれは北町奉行所与力・的場が絡んでいること…

 主水はこの話の中盤まで、この近江屋からの自分の上司でもあった的場への賄賂を運ぶ役をしたり、のちに恒例となる中村家シーンでいびられたりと冴えなさっぷりが全開なのですが、これこそまだ
 「インターネットをROMってるだけの自分」
 に過ぎません。

 また必殺シリーズも2作目。実はこの1話では「裏の闇組織」などは一切存在していませんでした。必殺シリーズ処女作にして前作「必殺仕掛人」(※「必殺」の基本作として、処女作にしてこれほどとはと完成度に驚かされます)の世界観では「緻密な掟が成立しており、プロフェッショナル組織として成熟した裏世界が既に存在している前提」であったため、それに対するアンチテーゼだったのか。この世界観はまさに
 「まだSNSも何もない時代のインターネット」
 と言えるでしょう。
 そんな中で個人ホームページを開くというのは、実際ハードルの高いことでした。下手を打てば2chで晒されるのがオチだ。何か、目的がなければ動くことなどない。主水も近江屋と的場の所業の真相を知ってなお
 「なあ鉄、俺は怖いんだ…」
 と弱音を吐いています。
 結局娘は「30両」という大金を出して彼らに敵討ちを依頼するという。…そう、これにより仕置人結成です。実際自分がサイトを作った時は自分の生存確認と昔やってた音楽活動紹介のページで、歳は30目前。目的なかったら、個人サイトとか作らなかった。この章の表題は仕置人結成を決めた鳥居のシーンでの、有名な主水のセリフだ。

 「的場様、死んでください。近江屋、あんたもだ。」

「潰したサイトは夢ん中」裏稼業SNS「寅の会」の登場

 主水はこの後「暗闇仕留人」「必殺仕置屋稼業」「必殺仕業人」と登場しますが、いずれのシリーズでも「掟に縛られた闇組織」の一員になることはありませんでした。
 しかし後に1975年、「新・必殺仕置人」にて、ついに江戸の裏組織を一人でまとめ上げた「虎」なる人物が創設した「寅の会」の配下になってしまいます。

 とはいえ、この寅の会はチーム代表(ここでは念仏の鉄)のみが実名登録されるシステムだったので、主水は
 「SNSにおける匿名アカウント」
 であったと位置づけられます。事実「新仕置人」最終回まで謎の正体不明の「鋭い刃物の殺しを行う仕置人」で通っており、壮絶な最終回となった仕置人チーム最後の仕置の大逆転劇への伏線にもなっています。また前作前作と重ねるごとに、組織は崩壊しています。これは「個人サイトを訳あって潰した」回数です。
 「『円満にやめよう』ってなった仕置人」
 「サイト共同運営者が重大ミスでリタイアして辞めざるを得なくなった仕留人」
 「ヒットしたが会社バレしそうになり辞めることになった仕置屋稼業」
 「カルト人気を得たが客が荒らしを呼んできてサイト閉鎖した仕業人」
 などなど。
 そしてこの「寅の会」から江戸には確固たる殺し屋組織連合らしきものが存在するようになっています。次作「必殺商売人」でも、最終回では連合的組織が登場します。SNSが普及した時期、多くの個人サイト運営主はSNSの居心地の良さにそちらに移っていきました。つまりSNS=「寅の会」です。「必殺商売人」最終回にて、殺し屋組織に取り入ろうとした同僚・同心根来を討つ際、「あんたは少し、深入りしすぎたようだな…殺し屋の掟を教えてやるぜ!!」と斬撃の後倒れた相手を執拗に串刺し。SNSに参入しやんちゃをするリアル友達を成敗するようなものでした。

「必殺仕事人」=「Facebook」

 「必殺仕事人」(1979年)1話ではショッキングなナレーションからスタートします。「奉行所による厳しい取調べにより、『仕業人』『商売人』と呼ばれるものは全滅し、多くの闇の仕事師たちが捕えられ、あるいは姿を消していった」
 まるでinfowebがサービス中止を行った時に謳った「当初の役割を終えたと思われる」
 つまり個人サイト文明は全滅です。あるいは闇に姿を消していったのです。
 このころ中村主水は八王子に左遷されていたのですが、鹿蔵と名乗る謎の将棋指しの老人から「高名な仕事師」として声をかけられます。
 なんとこの当時になってようやく、中村主水は仕事師として実名登録されていたのです。つまりFacebook登録です。また鹿蔵はさる江戸の大物殺しを手掛けた凄腕の、アルファツイッタラーみたいな存在でした。
 仕置人では殺しにかける情熱がハンパなく、生き生きとニタニタ笑いながら仕置(※法により処刑することを江戸時代こう呼んだ)を行っていた主水。商売人期では円熟し、複数相手にダイナミックな殺陣も披露していた主水。明らかな未成年を相手に「てめえみたいなガキは許せねえ、切り刻んでやる」と叫びウルトラマンAの人を7度メッタ切り(※最高記録)にした回は、なかなかのトラウマモノです。もう、その活躍っぷりはアルファツイッタラーか、バズブロガーか。

 一方「仕事人」期では長期シリーズ化とともに老いとともに殺陣は少なくなり、「セコ突き」「ボヤキ」など、殺しにもアイロニーが混じるようになり。
 インターネットに向かって希望に燃えて接していた時代もあったなあ…それに比べて今はどうだ?まるで「後期必殺仕事人」の中村主水みたいなものじゃないか…
 そう!「仕事人」末期の中村主水こそ、「SNSにいるインターネット老人」そのものなのです。実際バブル期に借金を背負った藤田まこと氏は「作風が変わり演技シーンも減り不満は多いが、借金返済のために中村主水をなりふり構わず演じた」時期があります。

中村主水の行く末に見るインターネット老人の今後

 藤田まことさんの急逝により、中村主水は退場してしまいましたが先日公開された新作「必殺仕事人2018」にて、なんと過去のバンクシーンを使って「復活」してしまいました。
 SNSのアカウントも、確かに本人いなくて残ってる例あるもんな…。
 つまり行く末は「インターネットゾンビ」です。
 インターネット上で何かを為し得た人は、いつまでも生かされ続けるのです!これにて結論!!

 八丁の堀に~中村主水かな~、虎、漫筆。

(※文中の画像は購入し所有しているDVDからのキャプチャーで、正確な著作権は株式会社松竹様に帰属いたします。この記事における引用を目的としての使用ですが、著作者様からの申告申し立て等などがありましたら差し替えなどの対処をいたします。)

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